食い物のレポート。=略して「食レポ」
タレントやアナウンサーが、食い物を評価するにあたって、よく語ってる輩がいるが、ただの食いしん坊とか、店を知ってるとか、そんなものはまったく力はない、ということが良くわかった。
それは、土井善晴氏(料理人)が和洋中などのいろんな店に行って、メニューを説明した言葉は、やはり料理人だからこそ言える季節に沿った食材の特長とか、作り方の妙、料理人の志、、などがうかがえるコメントで、素人グルメにはない勉強になるものさえ感じた。
たとえば、取材で麹を使った発酵食品を使ったレストランで土井善晴氏とタレントのコメントは、
土井善晴氏
「このインゲンなんかは、どうです?良い具合いにゆでられてますねー」
女子タレント
「ちゃんと計算されてるってことですね!」
「計算なんかできませんよ! インゲンなんて。一つ一つ、ちがうんですから。計算ではなくて、料理人が一生懸命にゆでてる、、っていうことなんですよ。」
女子タレント
「・・・」
さらに70年以上やってる街の洋食の店では、
土井善晴氏
「こちらのオムライスのデミグラスソースなんかは、あえて甘くしないでさっぱりとさせてるところが、この卵のトロトロ感にあってるわけで、作り手がこのメニューを良くわかってるってことですね」
女子タレント
「甘くなくって大人の味・・・ですね!」
一同
「・・・;」
うなぎの店に行ったとき、
土井善晴氏
「やはりここは歌舞伎役者が来るだけあって、40分かけてうなぎを丁寧に焼くという職人技が、1本、筋が通ってますね。だから、役者もその道を極めるという点で同じで、ちゃんとした料理人の、ちゃんとしたうなぎを食べたい、ってことなんですね」
女子タレント
「・・・・・。。。」
どうだろうか? まったく深みのない、うわっすべりの女子タレントの言葉が逆に目立ってしまったようだ。
土井氏のコメントは「でき上がった料理」を説明するような、「絶妙な」とか「素材がケンカしてない」とか、「引き立て合ってますね」とかじゃなくて、料理を作る作り手の気持、とか時代背景とか、人あっての料理、人の気持、おもてなしはどうか?というところまで、一つの料理から感じとるというのは、なかなかできないことである。
料理だけじゃなくて人間を判断(評価)するときの考え方の参考になる。
深い、深い・・・なかなか、おもしろい。