東京おとこひとり

語るモノコトのいろいろ

ニース、マティスの窓

NHKの「世界ふれあい街歩き」のコートダジュール編を観た。フランス、ニース、セレブの街。

30年ぐらい前に、詩人で画家の「ジャン・コクトー」関連の仕事でフランスに行ったついでにニースに行ったことがあった。芸術関係であるのにフランスにはほとんど興味がなかった。フランスに着いた時、ホテルのチェックイン時に空港から旅行鞄が届かないなどのトラブルがあった。 当時は日本人やアジア人にはあからさまな差別がまだあった時代である。フランス人のホテルマンは意地悪であった。

日本から一緒に行ったのは自分を入れて4名。今の会社の上司とフランス美術系の夫婦。自分以外はフランスには何度も行ってる通である。自分は初めてのフランスで当時は若かったからみんなに言いなりだったが、このメンツは今思うと最悪であった。今の上司と同室でメゾネットの部屋1Fのソファに寝かせられ、飼い犬のような対応。スケジュールも知らされず、行く場所もその時初めて聞かされると、ないがしろにされた。

もともと観光で行ったのじゃないが、景色もルーブルもセーヌも凱旋門もエッフェル塔も、感動も何もしなかった。(なぜか?)

フランスの雑誌ELLEは綺麗な雑誌だと思うしパリの雑貨もインテリアも嫌いじゃない。でも、実際にフランスに行きたいとは思わなかった。

ヨーロッパに行った人はわかると思うが歩道はほとんどが石造りで歩くと足が痛くなり、相当にクッション性のあるシューズが必要だった。田舎の方へ2時間かけて車に乗せられて行ったが、もう何が目的だったかも忘れたが、その田舎の村ではお土産にネイビーのフェルトのベレー帽を買ったのだけ覚えている。

せっかく行ったのに吸収しないのは贅沢であるなと思う。せっかくフランスに行ったのだから美術館に建物にもっと吸収しなくっちゃ!って、思わないといけないのだろう。

ニースでは古い小さなホテルに泊まった。ホテルのレストランで夕食をした以外は全く部屋から出なかった。つまりニースの街も人も何も知らないまま終わった。仕事で行ったのだから、観光じゃないのだから、これでもいいのだと思った。

今は仕事で一緒に来たくも無いメンツと来ているが本当に興味があってニースに来たいと思ったら自分一人で計画立ててくるつもり。と、少し意地になっていた。なんでも良いから早くこのメンツから解放されたかった。

今は分析できるが、当時は自分で自分がわかっていなかったのだと思う。30年前のフランスで自分が興味をそそられたのはただ一つ。 トランジットでモスクワに着く途中に飛行機の窓から見た、どこまでも見渡す限り白い雪の地面に葉の落ちた茶色い針葉樹が刺さったように何千、何万と地平線の向こうまで生い茂っている、そんな景色だった。そしてトランジットで降りたモスクワの空港のバーで簡素とも言えないぐらい覇気のないカウンター越しにロシア女性が一人立っていたおもてなしに興味をそそられた。

つまり、パリは「金をかけて作り上げた趣味の悪い観光地」であるということ。そこには何も感動したり体験したいと思えるものは無い。ルーブルは元宮殿だったわけだし街も遺跡のようなつくりで高級な食器を売っていたり、権威の象徴の凱旋門、威圧するエッフェル塔。すべてが人工的に作られた主張しすぎなものたちばかりで、何も発見はできない。

 

話もどって、NHKの「世界ふれあい街歩き」のコートダジュール編を観た。フランス、ニース。街の花屋にカップルがいた。二人は画家マティスがアトリエにしていたという部屋にやっと住むことが出来てとても満足しているという。その部屋の窓からはニースの海岸越しに海が見える。

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古いホテルの部屋に住む二人。質素だがマティスが住んだアトリエの窓、これは非常にうらやましかった。日本のオール電化の最新機能のキッチンのあるマンションなどの部屋なんか問題にならない。

世界にはなんと気持ちの良い暮らしをしている人たちがいるのだろうか・・・