銭湯で、和彫の刺青をした、たぶん55歳ぐらいだろう、
中肉中背の落ち着いた感じの人が入ってきた。
体を洗って、しばらくして湯船に入ろうと、
3種類のジャグジーの真ん中の一つを
その和彫刺青男が使っていた。
自分は彼の横のジャグジーに入った。
ジャグジーはひとりやっと入れるタイルの箱のような狭い窪みで
隣とはすぐ近くに並ぶ格好になる。
となりの和彫刺青男が背中を向けた時に、
(そうだ、じっくり刺青でも見てみよう・・)
目の前10cmぐらいの距離で黒と赤と青の背中の刺青を見た。
不思議だな、と思ったのは、
精巧なデジタル印刷のように、
はみ出したり一切ミスのない友禅染のような、
精巧に色分けされた図形が見えた。
そう、友禅にとてもよく似ている。
血の通った肌の質感が感じられない、織物のよう。
友禅染を肌に印刷したような、そんな完成度だった。
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