ろくろく人生レポート

66才からの人生探求レポート

過去も知らずして今を語るなかれ

少し前になるが日テレの情報番組「スッキリ」で、お笑い芸人がアイヌをギャグにした言葉をネタにしたというニュースがあった。内容はここでは書かないが、当然、放送後に各方面から批判がくる始末になった。番組は台本があったことも隠していたようだが、このギャグを言ったお笑い芸人を調べたら、四十歳過ぎの大人だったことに驚いた。歴史を知らない10〜20代の子だろう、たぶん・・と思っていたからだ。

年代によって日本の重要な歴史に関して全てを知ってる人は少ないと思うが、アイヌに関しての歴史はそれほど古くもなく小さな問題でもなく、現在はあまり報道はされていないが日本人だった十分に知る必要のある差別問題である。学校教育が真剣に教えてないことが問題だ。日本の学校は教師も正確に教えられる人がいないのだろう、都合の悪いことは教えない、そういう教育だ。

もし、子供たち学生たちが書物などでアイヌ問題やホロコーストの犯罪をうっすら知っていたとしても、ただ知っている、というだけで事の重要性までは認識できてないかもしれない。

アイヌを茶化したこのお笑い芸人も、最近のホロコーストを茶化した芸人上がりも、うっすら知っていたかもしれないが無知に近いものだった。うっすら知っていたけどたいしたことじゃないだろう、と思っていたことが甘さだと思う。

4、50代の「うっすらとした認識」というものにとても危機感を感じるし、彼らにはある共通点を感じるものがある。それは、今回の東京オリンピックの所々にあるサブカルチャーだと言われてるものがウケると思って使用したこと、なぜか金メダルもないホームベースが日本ではない大阪なおみが最終聖火ランナーだったこと、行進曲にゲームの曲が使われたこと、すべての演出に「うっすらとした認識」で作ってしまった感じがある。いいたいのは、「歴史背景を無視して今だけの流行りを使った」それで日本の過去の歴史が全てないがしろにされてしまった、ということ。

日テレの制作スタッフはかなり若いスタッフがほとんどだと聞いた。「うっすらとした認識」で物事を知っていたかもしれないが、うっすらなので適当に判断してしまったのだろう。全く知らなかった、というよりも、うっすら知っていたが重要だと思わなかった、、というほうが罪は重い。

日テレのスタッフも東京オリンピックのクリエータースタッフも同じで「うっすらとした認識」しかないせいで10〜20代からはサブカルでウケがいいかもしれないが60〜80代以上からは、まるで日本をわかっていない!と批判される。どっちがいいか?ということではなく、今があるのは過去のおかげ、であって、今流行ってるカルチャーを用いればウケるという判断は、渋谷で遊んでいる者に評価されれば良い、といった刹那的なメッセージになっていく。

開会式で国歌斉唱したミーシャは、彼女のファンは絶賛しただろう。しかし、さっき書いた「今の日本は過去のおかげで成り立っている」ということを考えれば、このミーシャの国歌の歌い方は受け入れられない。10〜20代は国歌に親近感がないのでわからないだろうし国歌の詞の意味など興味も教わることもなかっただろう。それでも、これは「うっすら」知ってるだけではいけないもの。知らなくてはいけないこと。何も国粋主義者になれといってるわけではなく「過去を知らずして今を語るなかれ」ということである。

ミーシャはプロなので当たり前に音程を外すこともなく声量もあるだろう。しかし流行歌には適しているがこと国歌となると人気があるだけでは不十分である。彼女の国歌の言葉の息継ぎが大いに間違っていたことは中高年以上だったら誰でも「え?へんだよね?」と思ったに違いない。自分も聞いていて、何ででここで言葉が切れるわけ?と不快になった。これを反論して新しい国歌でもいいのではないか?改革もありでは?ということには絶対にならない。イベントだから何か新しい試みをした方がいいのでは?という作戦だったのだろう。しかし守るべきもの(国家の歌詞)を個人の趣向でアレンジしてはいけない。まるで彼女が国歌のカバーバージョンを歌ってるかのようで不快であった。

クリエイティブに関しては新しいものはこの世には無い。全てアレンジやレトロで回っている。すべては過去を尊重し理解して初めて新しい行為ができる。変えてはいけないこともあることを若い世代は知らないといけない(本当は、強制ではなく変えたく無い、と思わないといけないのだが)。それが無いまま「うっすらとした認識」で歌ったり、ものを作ってしまった者たち。そしてアイヌを、ユダヤ人を、差別され苦しんだ人たちを軽く茶化したこともふくめて、平成の30年間〜の無教育で快楽な時代にいったい何をしてきたのだろうか?4.50代は?と思う。

1999年〜2007年まで杉並区の区長だった山田宏氏。その後新進党などの党首を務め政界へ進んだが区長時代の成人式でのメッセージが心を打つ。杉並区の成人式で毎年、同じメッセージを話した。区の成人式は暴れたり叫んだりする成人は一切いない。前列で聴いてるものは涙を流し聞いている者もいる。今の二十歳の君たちがいるのは過去に生きた同じ二十歳の日本人がいるからと・・・。

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東京は感染者が三千人を超え、政府も都も先の対策がわからなくなっている。緊急事態の次の手は無いからだ。田中角栄のように、元杉並区長山田氏のように、心の響く感動する言葉を言える人が国民へ語りかければ、皆、ついていくだろう。が、そんな責任感のある真剣なカリスマ性のある人材など存在しないだろう。しかし、誰か信用できる語れる人が人々を一つにしないと日本はダラダラと感染が広がるだけになってゆくだろう。もう間に合わないだろうか?感染者数が減らないのは菅総理の言葉がハリボテだからだ。