東京おとこひとり

語るモノコトのいろいろ

間違った倫理観

いつもテレビはCMを飛ばすか消音にしてるのだけれど、映像が割とキレイなので何回か観たCMがあった。

(プチ情報:自分は20代の頃にCM美術デザイナーをやっていた)

おトクに旅する設楽さんと、そうではない日村さんのコミカルな演技に注目・・と言う触れ込みでテレビCMを展開しているオンライン旅行プラットフォーム「アゴダ」。

「お笑いコンビ、バナナマンを起用し、アゴダでおトクな旅行を楽しむ設楽さんとそれに驚く日村さんをコミカルに表現。「知ってる人は、こっそりトクしてる」のキャッチフレーズを訴求。設楽さんの説得力のある話しぶりと驚く日村さんの豊かな表情や仕草にご注目ください。」

と言うコンセプト・・・でも、いつもこういうCMを見ると思うのは、

優越感・意地悪・いじめ・卑怯 

これらが根底にあるのは否めない。

笑いのネタとして以前からある「いじめ」のようなネタでどつき合う漫才、反社会的なネタで怒鳴り合うコント、これらはあまりに幼稚で人生経験のない若い連中が想像力もなくただ騒がしくすれば場が盛り上がるだろうという安易な考えでステージに立つ。お笑いという心を豊かにるものを「人を蹴落として笑いをとる」という真逆の行為をする。

CMディレクターも同じ人種である。「バカだねー!」といって相手を笑うことで演出をする。

人をバカにしたりずるいことを笑いのネタにしては決していけない。

根底にある間違ったネタは「優越感「ずるさ」「卑怯」である。

死ぬほど悲惨な目に遭う人を笑うビートたけしの昔の番組も最低なものだった。決して笑えないものであるのに業界連中はそれをレジェンドのように今だに奉っている。まともな考えの人もいると思うが、間違った集団意識と権力に迎合して、反論をすることもできずに流されているとしか思えない。

そんな間違った笑いのなかでまた、たぶん誰もが疑問も持たずに流されてしまったCMがある。

お笑いコンビ、バナナマンを起用した自分だけ舟盛りを食べられる「優越感」を表現したシーン。「意地悪」「いじめ」「ずるさ」これで人々の共感を呼ぶものなのだろうか疑問である。この旅の会社のキャンペーンはこっそり自分だけ秘密でお得になる、ということである。一人旅ならこんな設定は存在もしない。誰かと行く時に自分だけ得をしよう!という「ずるさ」が、なぜ「お得」ということになるのか?

そもそも、自分だけ秘密にお得になるというコンセプト自体があり得ない設定なわけで、それがイコール優越感という人から反感を買うものだ、ということを想像できなけれないけなかったのだ。

自分には製作側もクライアント側もまったく「麻痺」しているとしか思えない。このCMを観て「別にそうは思わないし、大したことじゃないんじゃない?」ということが危険なのだ。潜在意識の中にこのくらいはブラックジョークの一種だよ、ということが普通になってしまえば、実際にいつか同じような状況にであった時に「確かあの時に同じようなテレビCMがあったな、だから自分だけこっそり得しよう・・」ということが起こるのである。まさか、自分だけ得して何が悪い・・と思ってる人がいたらその人は非常に危険なサイコパスである。

今回のCMでは、笑いをとることがいかに難しいか、ということでもあるし、いまだにこういったいじめや優越感を利用した表現を公のテレビや広告で行うことで、間違った「倫理観」が生まれる。とくに勘違いする若者や子供がでることを危惧する。